那須岳
雨漏りのような音が絶えない。
電線から車の屋根に水滴が落ちているのだ。
台風が雲を吹き払っている予定なのに、雨が降っている。
一晩中寒い車内で待ってたのに、ひどい(これは準備が足りないせい)。
かいぬしのたった1日の休日なのに、ひどい。

毛者たちはうなだれながら、登山準備をはじめた。

  ロープウェーから茶臼岳
昨日は戦後最大ともいわれる台風だった。
だから、登山客の出足は遅いだろうと思っていた。
いやいや、とんでもない。未明から続々と車が押し寄せてきた。

天気がすぐれず、やや諦め気味に、ロープウェーに乗った。
あっという間に山頂駅に着く。
雲間から朝陽が射してきた。もしかして、勝った!?
  茶臼岳から朝日岳
期待いっぱい待っていた太陽は姿を消した。霧が、霧雨に、雨になってきた。
雨天登山にふてくされ気味のかいぬしが、地図を見て言った。
「『峰の茶屋』って、ビール売ってるかな」
「いや、『峰の茶屋』だから、なにもないんじゃない」
・・・もちろん、売店はなかった。

雨が強くなってきたので、レインウェアを着る。
不思議な形で重なっている巨岩や層ごとに色が違う岩の中歩いていると
レインウェアと相俟って、火星にいるようだ。

鎖場を抜け、左手に赤いものがちらちら見える。
あれは紅葉に違いない。
われわれは霧が晴れるのをまった。おにぎりをほおばりながら。
・・・あ、やっぱり紅葉だ!
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  朝日岳〜熊見曽根〜隠居倉へ
朝日岳の頂上についた。
視界もきかないので、皆、あまり長居せずに下りていく。
ここでもまたおにぎりを食べ、針路を検討した。
もう紅葉は見られたのでかいぬしは満足そうだが、モケは那須岳を
ぐるっとまわってみたかった。

「貧乏性だなぁ。面白くなかったらモケのせいね。」

そんなありがたくないお言葉を頂戴し、熊見曽根をめざした。
虹が見えた。幸先がよいような気がする。
このルートを選択した結果は、これらの写真をご覧いただきたい。
  キリがない
撮っても撮っても景色が違う。
雲が動いたり、陽の射し方が変わるからだ。
道を少し移動すると、違う角度が見えてきて、またファインダーをのぞく。
見えている光景が写っているのか心配で、またカメラを構える。本当にキリがなかった。
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  隠居倉から三斗小屋へ
隠居倉から三斗小屋まで、ひとりもすれちがわなかった。
しずかだなぁ。どんどん下るなぁ。道、あってるのかなぁ。
なにもなかった頭上は木々に覆われ、雨で増えた湧き水で足元も悪くなってきた。
過去にも間違ったルートを選択した実績があるので、自信がなくなってきた。

また、かいぬしさまにおこられる・・・。

不安がピークに達した頃、四角い小屋が見えた。
ただのプレハブのように見えるが、看板に神社と書いてある。その先には鳥居もあった。
よかった。三斗小屋に着いた!
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  三斗小屋から姥ヶ平へ
ここからがいちばん長く感じた。
ブナ林の中を登ったり下ったり、ひたすら歩く。
半そで1枚で歩いていたら、おばさんグループに「涼しそうねぇ」と言われた。
いや、涼しくないから。暑くてしょうがないから。
われわれは無言で歩を進めた。頭に浮かぶのは冷たいビール。ただひたすら歩いた。

そんな意地汚いわれわれの目の前に、すごい景色が広がってきた。
姥ヶ平である。こんなに間近に、こんなに華やかな紅葉が見えるなんて。
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  牛ヶ首からゴールへ
牛ヶ首まで登ると、見上げていた紅葉が眼下に見えた。
ひたすら、紅葉、紅葉、紅葉の道。すばらしかった。
・・・この山並みを眺めた6分後、下界で雨が降っているとは想像もできなかった。
あらためて山の天気の不思議を感じた。
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