志賀高原のさわやかな朝。あたりは濃いミルク色だ。
昨日、夕陽にシルエットで見えた山並みも、車の音がする道路も、
すぐそこに見えるはずの軒先も、見えない。
山の朝だから? もうすこし日が高くなれば晴れるか?
1時間ほど待ってみたが、状況は変わらなかった。
この霧ではここ(志賀高原)を歩いても、よい景色はのぞめないであろう。
そこで草津に行くことにした。
関東地方は「晴れ」だとニュースで見たからだ。草津の方がちょっぴり関東に近い。
志賀から草津までたった20km。あっという間だ。
峠をこえたら、天気が違うなんてことはよくある。あっちは晴れてるはず。
そう確信しながら、志賀草津道路を走っていった。
だが、いつまでたっても霧は晴れず、電光掲示板が『0℃』を示していた。
たぶん、真ん中の棒か(『8』)、2桁め(『10』)の電球が切れてしまったのだろう。
それにしても寒いな。窓も外もずいぶん白いな。
「モケ。降りてみな」
かいぬしさまがドライブインに車を入れた。
外にでると。
凍ってる。木が凍ってる・・。草も凍ってる・・・。
たいへんですきゅ・・・。紅葉を撮りにきたのに、すでに冬?
さっきの『0℃』は間違っていなかった。
どんなときも、写真は欠かさない2匹であった。
寒くて焦点が定まらぬ中、いろいろ撮ってみる。
凍った木々は面白い形だなぁ。だけど、背景がいまいち・・・。
気がつくと、かいぬしさまの姿がない。片隅で、みみげ号(車)がバックしているのが見えた。
きゅー!!!!! 置きざらないで〜。
「だれが草津行こうっていったの。」
「だれがだめな生き物なの。」
「モケ・・・。」
きっと、かいぬしさまは「人生(レッ生?)をあまくみるな」という教えを伝えたかったのだろう。
反省のうち、草津に着いた。
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芳ヶ平へ
2色しかなかった。銀鼠と朽葉色。渋い色合いだ。
木々は凍り、大地は硬く、草は枯れている。
同じ方向を目指す人は見あたらない。ひゅーひゅー風の音だけが聞こえる。
静けさを壊さぬよう、2匹はもくもくと歩いた。
美術館の展示物みたいに枯れ木が並んでいる。
青空を背景に不思議な造形を誇っていた。
左手にそびえる丘には絶え間なく雲の影が流れている。
立ち止まって、しばらくその黒い流れを眺めた。
赤く硬い葉が地面を覆い、大地をあたためている。
人によってはさみしいと感じるだろうが、すがすがしいところだ。
しばらくして、彩り豊かな芳ヶ平が見えてきた。
童話のような景色。
夏は当たり前に思っていた緑や黄色を豊かな色だと思った。
・・・それにしても寒い。4枚着ているけど寒い。
体がこわばっているせいか歩みがのろくなり、前を歩くかいぬしさまの背中が遠くなってきた。

変な叫び声が聞こえた。
かいぬしさまの奇声だ。
一瞬、自分が呼ばれたのがわからなかった。姿が見えないので呼ばれたらしい。
しかし、なんで「くま」。
レッサーパンダなのに・・・。
「あったかいコーヒー買ってやるぞ」
モケはあっという間にかいぬしさまに追いついた。
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撮影日:2004年10月23日
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